《MUMEI》 ―――Miwaさんのご両親のご冥福を祈らせてもらいます。俺は身近に人を失ったことがないので、気持ちがわかるとか、同情するようなことは言いません。ただ、一つだけ言わせて下さい。 元気を出して下さい。 ―――俺の名前は《You》と言います。 翌日来てみたら、返事はもう書かれていた。 早いなぁ、まさか毎日確認しに来ているのかな? 一文を流し読みし、深く、深くため息を零した。 ついでに無意味に笑みも零れる。 同情しない………か。 確かに同情されたって、嬉しくも何ともない。 辛かったね、とか、鼓膜を抉ってもいいくらい言われたくない。 あなたに何がわかる。私はきっとそう言い放つ。 そう思うと、このYouという人は、はっきりと同情しないと言っている。 同情された側の惨めさを、彼は知っている。 もしかしたら、彼は……… 考えるのをやめた。彼に失礼だ。 だけど、彼への興味は一層強くなった。 彼の文章を眺める。 まだ大したことは書いていない。私が一方的に不幸自慢をしている。 だから、彼のことを知りたい。 私は顔を上げる。両親が死んでから、空は一度も雨を降らせていない。 まるで空の代わりに私が地面を涙で濡らしてしまったために、これ以上の潤いは必要としていないようだった。 そんな私の心の天気は、颱風のような暴風雨から、曇天に。 大空を明るく照す日輪を、絵の具で塗り潰すくらいに黒く、闇のように暗く、漆黒な雲が容赦なく全てを、覆い尽くす。 闇曇り。 そんな分厚い雲に、太陽のような光が注す、いや、貫く日は来るのだろうか。 あると、信じたい。 貫いてくれる人が、きっと、現れてくれるはず。 期待する。いや、してしまう。 救われたい 早く お願いだから 誰か 私を 助けて 前へ |次へ |
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