《MUMEI》

戦争の生々しい爪痕を見る。残された膨大なけれど犠牲者達の人数には及ばないちっぽけな記録。


低く唸り、陰る飛行機。


どんなに目を背けようとしても否定出来ない現実の歴史。





パシャ



「南!撮ったろ!」
フラッシュがまだ視界の隅を散らしている。
こういう戦争の記録がある場所で撮影なんて非常識にも程がある!


「ちゃんと消すよ。
木下があまりに綺麗な憂い方だったものだからつい……」


「景色ではなく?」
何を言ってるの彼は。


「あー……分からなくていいんだよ。」
どうやら彼にとっての余計なことであったらしい。

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