《MUMEI》

同情されたくなかった。

人に甘えるのがイヤだった。

でも、あたしがたった1人だけ、心を許して甘えた人がいた。

・・・圭ちゃんのお母さん。

『ナツちゃん、何かあったかね?』

圭ちゃんのお母さんは、あたしをナツちゃんとよんだ。

『あたしのお母さんは、何で事故に
遭ったのかなぁ・・・?』

最後の方は、声が震えた。

圭ちゃんのお母さんは、いつものように、穏やかな口調で話した。

『神様が決めたことやけん、わかんないや。でもね、人って、いつかは命がなくなるやろ?』

『う、ん・・・ック』

『ナツちゃんのお母さんは・・・普通に生きてる人より、ちょっとだけそれが早まっただけやないんかね?』

『そう、なの・・・?』

『そうなんやないんかなぁーって思うけどね、あたしは』

そっかぁ・・・。

あたしは、そう思った。

もっと深い思いはなかったの、って思われるかも知れないけど、そうなの。

ただ、圭ちゃんのお母さんの声に頷くだけだった。

月曜日の夜は、安心して眠れた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫