《MUMEI》
キッカケ
-1997年メーデー-

この年、メーデーに久しぶりに参加した…
俺と真由美は組合の役員をしていた…
「ねぇ、高坂くんって普段の休日は何してる?」
猪野さんが質問してきた…
猪野さんは俺より10何歳か歳上ではあるが、若く見られていたので、組合のマドンナ的存在…
「あ、俺は家で引きこもり…」
「あはは、…で、部屋で何しよん?」
「えっ?ん〜、ゲームかな…」
「何かオススメのゲームある?」
猪野さんの背後から真由美が質問してきた…
「俺がやってるのって、KOFとか言う格闘技ゲームだけど…」
「あ、知ってる、知ってる…1チーム3対3のヤツでしょ…」
「そうそう、俺さ、あのキングっていうキャラが好きで…」
「私はリョウが好き…」
「へぇ〜、俺、リョウをよく使うよ。使いやすいもん…」
「私はルガールをよく使う…」
「えっ?ルガールってボスキャラの?裏技で使えるようになるのかい?」
「裏か表かは解らんけど、キャラのセレクト時にね………」
これが真由美との初めての会話だった…
同い年で同じジャンルのゲームの話…
俺にとって、初めて話し相手が出来た感じだった…
それが嬉しくて……
でも、俺にとって真由美への想いは初めて出逢った時に失笑していた、あの笑った顔に魅かれてから始まっていた事を確信していた…
これを世間では『一目惚れ』と言うが、真由美への想いは決して『一目惚れ』ではなかった事を補足しておきたい…

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