《MUMEI》

ーーーータッタッタッ

隣の市の病院・・・。

あそこのバス停から行ける・・・!

はぁ、はぁ・・・。

あと30分・・・。

・・・着いた。

着いた!

圭ちゃんのお母さん・・・。

『柴本、さん、いますか?』

『30歳くらいの女の人、かな?』

『は、はい!』

『あのね、柴本さんなんだけど・・・脳に、病気があるの。だから、今は集中治療室ってところにいて、会えないの』

『脳の、病気・・・?集中治療室・・・?』

看護師さんはそう言って、慌ただしくナースステーションへかけていった。

・・・圭ちゃん!

圭ちゃんに言わないと!

・・・知ってるのかな?

子供だもんね。

でも、一応・・・。

ーーーードクドク

心臓の音が体中に響く。

ーーーーピポパ プルルルル

はい、柴本です。

『圭ちゃ・・・、あの、武ですけど』

えと・・・ナツメ、ちやん?

『う、うん。圭ちゃん、おばちゃんの病気のこと知ってるの?』

病気・・・?

『圭ちゃん、知らないの・・・?おばちゃんの、脳のこと・・・』

・・・ガタッ、プーッ、プーッ

『圭ちゃん・・・!?』

ウソ・・・知らなかったの?

あたし、無神経なこと言っちゃった・・・。

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