《MUMEI》
菱和の策略
テレビのニュースで知ったんだ
今年最後の日、大晦日だった

菱和の専務が、亡くなったんだ
そして、経理部の部長が、背任罪で、逮捕された
関係先の、トンネル会社も、摘発されてた

………消されたな

呟いた俺に、小林さんは青ざめた顔で

消されたって、殺されたってこと?

蜥蜴の尻尾切りさ、ムダな事を…

ドアがノックされた

小林さん、事情聴取だってさ

いった方がいいですよ
良くない輩が動いてる

静かに、そう言ったんだ

私も、消されるの?

警察の中に、その手の者が居ればね

警察の中にも?!

以前は居たよ、今はどうなの?

迎えに来た警察官に聞いたんだ

少なくとも、我々のチームにはおりません

敬語だった

もし、何かあったら、わかってるよな

拳銃を所持しております
安全には万全を尽くします

結果だけだ
俺が求めてるものは

貴方、誰なの?

小林さんに聞かれたんだ

偽ってて、すみません
神谷信幸と言います

神谷?……北の、神谷家の、跡取り?!

はい、金村の名を借りて、菱和に潜り込みました

……………教えて、警察に話した方が良いの?!
話さない方が良いの?!

……小林さんの、ポリシーのままで

貴方はどっちの方が、良いの?!

………今となっては!もう、どちらでも…

………そう

小林さん、目を伏せ、静かに警察と共に、部屋を出ていったんだ

そして、俺は、稲森さんのマンションへ、向かった

ソコにも、警察車両が来てたんだ

稲森さんが、エレベーターから降りてきた

マンションのエントランス

脚を止めた稲森さんが

保護してもらうわ、お巡りさんに

そう、俺に言ったんだ

うん

素顔を見せて

コンタクトを、外した

自分の瞳を触るのは、苦手だったけど
洗浄もしてない指で、外したんだ

………お別れね、ノブさん

俺に、微笑みを見せて、稲森さん
そう、言ったんだ

気づいてたんだ…………そう、だよな…

たぶん、小林さんもかな?

俺の腕の、銃弾の跡を見てたもんな
………何も言わず、スルーしてたけど

楽しかったよ!

稲森さんの後ろ姿に、そう、言葉を飛ばしたんだ

一瞬立ち止まった稲森さんだけど
振り替えることなく、歩いていったんだ

…………

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫