《MUMEI》
from You
俺と楔は、物心がついた頃にはすでに、隣同士だった。
どんな古いアルバムをアサっても、必ず楔は隣にいて、写真に写っている。
家が隣同士で、親同士が親友同士で、だから必然的に俺達は幼なじみ同士という事になる。
そんな楔は、俺の一番の仲良しで、俺の初恋の相手だった。
だが、俺と楔の関係は、急に終わりを告げた。
それが最大のキッカケではないにしろ、俺はそれから学校に行かなくなり、自分の部屋に閉じこもるようになった。




「………楔………何で」
何で俺に話しかけてるんだ。
「だって、幼なじみでしょ?私達」
「ッ!」
どの口が言うんだ、それは。俺を……避けたくせに。
「その顔、やっぱり聞こえてたみたいね………」
楔はばつが悪そうな表情になり、頭を下げる。
「ごめんなさいっ!」
俺に、謝った。
「あの時………悠の事を、無視して、知らないフリをして、すごく、後悔した」
再び上げた楔の瞳には、涙が溜まっていた。
「ずっとそれを謝りたくて……。でも、悠は学校来ないし、今更悠の家には、訪ねられないし……」
………何でだよ。
俺が何をした?
「だから、こうやって会える日を待ってたの」
何だよ、何なんだよ、これは。
何で…………今、なんだ。
「そんなの………何で俺に謝る必要があるんだよ。別に、もういいのに」
どうでも
「忘れたい事をぶり返して………どこまでも無神経なんだな、楔は」
こんな事、言うつもりなんか、ないのに……
「また俺を傷つけたいか、楔は」
先程のよりも、更に冷たい目だったと思う。
否定したいけど、俺の本音だった。
楔は目を見開いたまま、眉を寄せる。涙を、堪えている。
「昔なら、悠が私に悪口言うと、私は悠に思いっきり、ぶん殴って黙らせてたよね」
良い思い出………だった
今でもはっきり覚えている
楔は辛そうに笑顔を作る。
「でも、今回ばかりは私がぶん殴るなんて、できないよ。私が一番、悪いから」
後悔。
そんな事言ったら………俺は
「私、あれから彼氏に………竣吾にフられちゃったんだ。理由は………わかる、よね?」
やめろ
頼むから
もう、喋るな
「良い機会だから、悠?私の事を好き放題、しちゃっていいんだよ?」




「ああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!!!!!!!!!」




もうこれ以上…………俺を苦しめないでくれ

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫