《MUMEI》
from Miwa
ドガッ、と音と共に、醜悪な顔と、私を縛る重みが消えた。
第三者が現れた。
その第三者の男の人は動悸が荒くなっており、彼を殴った右拳を震わせている。
助かっ………たの?
その実感が湧かなかった。もしかしたら、さらにマズい状況に陥ってしまっているかもしれない。
私は身を守るように破れた衣服を覆い被さり、「誰!?」と尋ねる。
男の人は私を一瞥すると、驚いたような表情になった。視線を逸らし、上着を脱ぎ、私に被せた。
「あの………もしかして、君がMiwaさん?」
「え?」
どういうことだろう。
この人も、私を知っている。
でも、Youさんは一人しかいないはずだ。
二人が協力、グルになっているわけでも、無さそうだ。
じゃあこの人は一体………
「君がMiwaさんか………」
何故か顔を赤く火照っている。
「え……あの……」
「あ、ごめん。君の質問に答えるよ」
第三者の男の人は苦笑しながら、勿体付けるように―――
「俺は、ペンネーム《You》って言うんだ」

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