《MUMEI》
春彦の妻、マリエ
送り込んだ、神谷勢から、様々な報告が送られてきてた

身内を何とかと、春彦は俺に報告書を出したが
虚偽!

事柄は、真実なのかもしれないが
誰が行ったか、が、でたらめだったんだ

その日、専務はその場所には行ってない

俺の持つ、報告書を纏めたものを見せ、問い詰めたんだ

顔面が蒼白してた

俺と、敵対するつもりか?

その言葉にキレたようだったな
仲間を集め、反旗をと、行動に出た春彦だったけど
賛同者は、皆無……

完全に、孤立したんだ

篠田の身内たちも、神谷の後ろ楯という
強力な物に、実感を覚えてた頃だった

成功者には、派閥を問わず、道を開かす

俺の言葉が嘘でない証に
篠田からも、旧常務派からも
力ある者は、のしあがって来てたしね

梅雨も明け、暑い夏の日の午後
篠田の妻、マリエが、俺を訪ねてきたんだ

何度も断ったけど、待ち伏せされたんだ

……かなり、美形だよな
日本の石油精製会社の娘だと、聞いてた

部屋に上げたんだ

ここで、暮らしてるの?

そうですよ、じゅうぶんです、寝に買えるだけですから

ワンルームの部屋を見て、不思議がってたんだ

お茶を出した

ペットボトルで

信じられない、そんな顔をしてたな

話は、主人にチャンスを、ってことだったんだ

自分の親の会社との、プロジェクトが、あると
確かに、それは聞いてたし、GOもだした、
それに、燃料電池には興味も有ったしね

マリエは、主人が適任者だと、主張したんだ

役員会で決めること

そう、冷たくあしらった俺に
俺の力で、何とかして欲しいと、直談判しに来たんだ

手土産は、以前付き合いのあった暴力団が、神谷にしたことの詳細だった

少しだけ、目を通して
その、報告の紙束をテーブルに置き、話し出したんだ

何があったか、誰がしたかを

知ってます、そんなことは

手土産にならないんだと、遠回しに告げたんだ

竜也から、聞いてた

アイツ、律儀に調べあげてくれたんだ

黒い世界の事は、同じ世界の奴の方が、よく、わかってるんだよな

菱和に送り込んだ神谷勢からの過去の報告と照らし合わせれば
誰が、どう、動いたかも、わかる

俺の特になることが、何一つ有りませんね
でも、チャンスを与えてあげましょう
最後のチャンスになります
失敗すれば、切り捨てます、宜しいですか?

バカだなぁ…乗ってきたよ

そのプロジェクトは、副社長をリーダーとして、進めさせましょう
パンツ脱いでください、写真を撮りますから

俺の言葉に、物凄い顔をしてたよ
マリエ

どうしました?
対価に、釣り合うかと思いますが

紳士だと、思ってたのに、ガッカリだわ

虚偽の報告で、俺を騙そうとした裏切り行為
奥さん、貴方もゴシュジンニ対して、裏切りを持ってください
話はソコからです
覚悟を、見せて貰いますよ

冷たく、言い放ったんだ

…………

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