《MUMEI》

「でっ、何処で話そうか?」

「あそこの路地でいいか?」

俺が指定したのは、人目につかない路地だった。

「うん、いいよ。いこっか」

青年は、俺の提案に、あっさりうなずいた。


人がいないのを確認し、俺は青年と向かい合った。

「お前、名前は?」

「先に名のって欲しかったけど、まあいいや。僕は、夜の月と流れ星と書いて 夜月流星だよ」

「夜月か、いい名だな。俺は 宮野優 宮崎の宮と長野の野で宮野それと優しいの優で 宮野優だ」

夜月は『宮野か・・・で宮野は、僕に何の話があるんだい?』と俺を見てフッっと笑った。

「お前・・・何?」

俺は夜月に向かって言った。すると夜月はクスクスと笑って
   . .
「君と同じだよ宮野。君も気付いているんだろう?」

と言った。もちろん気付いていたさ。夜月が俺と同じ能力者だってことを。

「よく分かったね。まぁ気付く人はあんまりいないからぬずらしくてね」

と言いクスっと笑った。

「確かに、滅多にいないからな。だから気になった」

「なるほどね・・・で、君の能力は何?」

「他人に教えるわけないだろ」

無意味に教えるわけない。だけど

「俺と戦って勝ったら教えてやるよ」

いい暇潰しになるだろ。

「へぇ〜君、自信があるんだね」

「まあな、いくぞ!」

俺は、右耳のピアスをつかみ、右に回した。そうしないと力が開放しないから。

「へぇ〜・・・」

夜月はおもしろそうに笑った。

「なるほど・・・クス」

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