《MUMEI》 一日目と全然違うホテルだった。 広くて三人部屋は大きいベッドが二つあって感動。敷布団は慣れない。 じゃんけんで勝った南が一人離れた所に寝る。 ベランダからは海が見えて、沖縄に来た実感が湧く。 「暇だなテレビつけようか」 七生がベッドにダイブしながら電源を入れた。 「お腹すいた」 「南小さいのによく食べるよな。」 「小さいゆーな。」 南VS七生の枕投げ大会が始まる。 ああもう、埃立つじゃないか。 止めることを諦めてベランダに出た。 夕方の風は一気に冷えていて、鳥肌が立つ。 上が薄暗く、太陽に接している海はちらついて輝いていた。砂浜の色も違う。 珊瑚礁の死骸だっけ。幾年も堆積していったんだ、まだ触ってない。普通の砂と変わらないのかな。 「さみー!風邪ひくぞ!」 七生が俺の後頭部に枕を押し付けて来た。 「ん。沈むまで待って。」 枕を抱き抱えて鼻まで埋める。 「ベランダ広いね」 南も上がってきた。 三人でぼんやりと夜の空に変わる瞬間を眺める。 前へ |次へ |
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