《MUMEI》
談笑=魔王降臨?
「んで。本題なんだけどさっ」

4人の談笑中、突然紘がずいっと顔を今宵にに突き出す。

今宵は、紘のいつもと同じように意味不明な発言に首を傾げた。

「何?その本題って」

「だーかーらっ!!君達の馴れ初めを聞こうかと思いまして!!」

「コト。古臭い言葉な上に、使い方間違ってるわよ」

軽く引き気味の今宵にずいずいと顔を近づける紘に、秋葉は冷静に突っ込む。

「っていうか何でそんなに顔近づけてくるの〜!!?」

今宵は今もなお顔を近づけてくる紘に、顔を真っ赤に染めて思わず目を瞑った。

いくら歩雪が好きだとは言っても、お互いの鼻と鼻がくっ付きそうになるぐらい異性の顔が近づけばドキドキしてしまうのは仕方の無いこと。

ましてや性格に多少、いや多々意味不明なところがある紘だが、歩雪にも負けずとも劣らない美形の部類に入る顔立ちをしているので尚更だ。

秋葉も歩雪くんもなんで黙ってるの〜!!!

今宵がもうすでに爆発寸前である時、秋葉はこの状況を見てニヤニヤと笑っていた。

もちろん、歩雪はどうするのかしら?♪、とおもしろがって助ける気は更々無い。

も、ダメ!!

今宵が強引に振り切ろうとした瞬間、強い力で腕が引かれた。

「ひゃっ!!」

「・・・・・・こんなことしてただで済むと思ってるの?紘」

「歩雪くん!!」

今宵は腕を引かれた反動で歩雪に抱え込まれていた。

要するに後ろから抱きしめられているような状況だ。

しかも今宵を抱える腕の力がきゅっととても強くなっていくのが分かる。

今宵がちらっと歩雪の顔に目線をやると、誰でも分かるような不機嫌さが現れている。

こ、恐!!!

紘は負けじと魔王様降臨の歩雪に、お得意のくねくねポーズを見せる。

「やぁっだぁ〜!!ふーくんったら怒っちゃイ・ヤ♪」

「人は死ぬとバカが治るって知ってた?」

歩雪は絶対零度の域を軽く越えるような笑顔で答えた。

ものすんごく寒い気がするんですけど・・・・・・?

今宵は歩雪の腕の中で、北極にいるかのような錯覚に陥った。

紘も同じなのか慌てて降参をする。

「イヤ!!お前それ冗談に聞こえねーから!!!」

「冗談じゃないからね。当たり前だよ」

「悪魔!!!」

キャー恐いっ!!と、紘は秋葉の後ろに隠れた。

まだ懲りてないのか、琴吹くんは・・・・・・。

・・・・・・っていうか私はどうすれば!!?

今宵は紘のおふざけモード全快の姿を見てため息をつくと同時に我に返ったのか、今の状況をどうするべきか慌てて考える。

まだ歩雪は今宵の体を離そうとはしない。

それどころかどんどん腕の力が強まっている気がする。

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