《MUMEI》
プロローグ・かぐや姫の故郷より
満天を深い漆黒が覆っていた。
それは、人間のちっぽけな理解力など寄せ付けぬと言わぬばかりの、見る者に冷酷ささえ感じさせる、深い漆黒だった。
その満天の漆黒から、まるでシャワーのように星の光が降り落ちて来る。
それにしても、何とゆう膨大な星の数なのか?
恐らく地球上のほとんどの生物が、空にこれほど圧倒的な量の星光を、肉眼で見た事は無いだろう。
その星の雨が降り落ちる、ひび割れた
地表と、岩が転がるだけの景色が 、どこまでも不毛に広がる大地と共に。
大気を持たず、真空の宇宙に剥き出しになった空と、月の裏側の風景を見る事が出来る者が、地球上に暮らす生物の中にいるわけが無い。
宇宙飛行士でも無い限りは・・・・。

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