《MUMEI》

俺、滝沢博之は、正統派オタクだ。
正統派オタクって何んだよ?といきなり突っ込まれそうなので説明しておこう。
最近のオタクブームに乗って自分はオタクだなんて平気で言っているやつがいる。
俺から言わせれば奴らは本物ではない。

アウトドアオタク?
隠れオタク?

そんな手軽にオタク自慢がしたいのか。
お前らは学校帰りに少女漫画を立ち読みする勇気もないくせに。

俺はそんな偽者ではないぞ。
正統派と言うに相応しい、模範的オタッキーだ。ゲームとアニメに関しては日本で5本の指に入るのではないか。いや、俺が高校生ということを考えればもっと評価されてもいいはずだ。

ちなみに俺は滝沢と言う名字に生まれたことに運命を感じている。
自分がオタクと自覚する前からオタッキーというあだ名がついていたからな。
まさに名実ともにオタッキーとは何と言う幸運なのだ。


そしてこの高校に入った時にさらなる幸運が舞い込んできた。

津田沼綾と言う完璧までな人間に出会ったからだ。そう、みんなからツンツンと呼ばれている彼女のことだ。彼女は現実世界でいそうでいなかった、あのツンデレキャラだ。入学から2週間たった今、彼女に猛烈アプローチしているが、彼女の名前が表すように、ツンツンとした態度で返してくる。
しかし俺はいつかはデレデレされたいのだ。

そこで俺は考えた。どうすればいいのか。
どうすれば彼女がツンツンからデレデレに変わるのか。


そこで俺はあることに気がついた。
足りないものがあったのだ。

そう、これがないと物語が動き出さない。


それは何か。簡単だ。ドタバタラブコメディーに必要な要素が欠けていたのだ。

今日みんなに集まってもらったのはそういうわけだ。

つまり、委員長、幼なじみ、お嬢様、スポーツ少年、お笑いキャラ、この5人が揃っていなければ話しにならないのだ。



゛頼むこの滝沢博之に力を貸してくれ゛


俺は今までに話したことなんてほとんどない、この5人を前にこんなトンデモ話をしていた。

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