《MUMEI》

砂嵐だけしか映っていない画面が、音も無く明滅している。
暗い居間を照らすのは、その画面の明かりだけだ。
テレビの前には、こちらに背中を向けるようにして、両親が無言で座っていた。
何かおかしい。
おまけに真冬のこんな寒い真夜中だと言うのに、窓は全開になっている。
須佐男は再び両親に呼びかけながらも、前に回り込むのが恐ろしくなってきた。
だが確かめないのはもっと恐ろしい。
勇気を奮い起こして両親の顔を覗きこんで見て、さらにぞっとする。

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