《MUMEI》

こんな、優しい男を怒らせやがって…
ユウサク、お前、楽に死ねないぜ、きっと

黙れ、国の犬の桜田風情に言われたくねーもんだな!
何が結婚だ、犯されまくった女を嫁に出来るものか!
俺と、付き合ってたんだぜ
へへっ、俺のお古を嫁にするってか?
俺のチンポ舐めてた女が好みなのか?くくっ、楽しいねぇ、神谷よ
笑わせてくれるぜ
そこまでして、黒田の力が欲しいか?
そこまでして、力を手に入れてのしあがるのか?!

………小せーな、お前

静かに、ユウサクの方へ、歩いて行った

来てみろよ、爆発させるぜ

やれよ

…………そうか、みんな仲良く死にたいんだな

ドゴーン!、ドゴーン!、ドゴーン!ドゴーン!

耳をつんざく音がした

まだ、耳鳴りがしてる

………ユウサクの、肘から、リモコンを握る腕が、ぶち切れ垂れてた

竜也から、マグナムを取り上げ、レイが、撃ったんだ

竜也が駆け寄り、リモコンを奪うと、桜田がユウサクを、取り押さえてた

悪いが、コイツらは連れてくぜ

………………後日引き渡してもらえるかな?

どうかな、ノブに聞けよ

兄さん、返すわ

………持ってろ、あの女たちも連れてく
逃げ出したら撃て
予備の弾だ、全部マグナム弾だ

要らないわ、一応日本ですもの

そうか

い、医者を、た、頼む

ユウサクの言葉

うぎゃぁぁっ!

ユウサクの垂れ下がった腕を、竜也が引きちぎったんだ

甘えるな、クズが
行くぞノブ

静かに竜也が行ったんだ

………………俺の一歩後ろを、レイが、歩いてた

工場の建物から出たとき
振り向き、レイを抱きしめて

全員、待避したよな

リモコンを持ち、そう言ったんだ

な、神谷、

桜田が血相を変えてた

ズガガガガーン!

爆風の後、音が聞こえた

レイを胸に抱き留め
爆風から庇うようにしてた

ひぃっ、

きゃぁぁ!

連行される女たちの悲鳴

火柱が上がってた

テロリストに、爆破されたのね

まち子の言葉に

ったく、頼む!
なるべく穏便に………

黙りなさい、動くのが遅かった、自分の組織を恨みなさい

まち子が、そう、切り捨ててた

ユウサクが、意識を失う度に
竜也の腕が、その傷口を痛め付けてた

よーく、見ろよ、生きてるうちによ
誰に牙を剥いたのか…
奴は、いつも独りだ
誰かの力をあてになど、しねーんだよ
だから、みんな、奴に集うんだ
本物だけが、奴に近付ける
お前らは、ムリだな

竜也の言葉に

もう、独りじゃないよ、レイが居るもん

そう、言って、レイの腰に手をまわし、歩き出したんだ

優しい男を怒らすと、恐いもんだな

公安さんよ、ノブは、俺らより悪魔だぜ

いや、天使だよ、貧しく餓えた国の子供たちは、彼の恩恵で、給食を食べれてる
その規模は、国連以上だ

うちのノブはね、黒い羽が生えてるのよ
羽ばたかせないで………

肝に、命じとくよ……

美しい、漆黒の羽を持つ、天使なんだろうな、

ヤクザのくせに、詩人だね

おい、公務員、仕事しろよ
まだ、飛び立つぜ、羽はしまわれてない

そうかな?
優しく抱きしめてるように見えるぜ、その羽で

………………

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