《MUMEI》

知らせが届いたんだ

桜田大善は、その人生に終止符を打たれたと

表向きは、国交のない国へ、政治亡命だ
けど、全てを無くし
力を無くした大善に、手を差し伸べる者は居なかった
単なる厄介者なんだろうな

麻薬などに、手を染め追って、バカなやつじゃ

元は、日本軍の麻薬畑ですわね

歴史の闇に、永久に滅するのじゃろうのう

それで、良いではないですか
私達が見捨てた日本に、こんな、優しく強い青年が生まれて来てるのですよ

そうじゃな、日本か、懐かしいのう
ノブや、お前さんの祖父とは、何度も喧嘩してのう
頑固で、意地っ張りな奴じゃったわい
似ておるのう、
ヌシは、きゃつにソックリだわい
もう、良い、少し楽をなされ

白衣の人が来た

伊藤さんが、俺の前に立ちはだかった

信じてくれんかのう、弁護士さんや
麻酔じゃ

しかし………

伊藤さん、信じようよ
たとえ、死んでもさ
俺が死んで、世の中が収まるならそれは、それだよ

レイさんは、どうなさるのですか?!
神谷は、どうなさるのですか?!

弁護士さん、あんた、惚れてるのじゃな、ノブに

おふざけにならないでください!

残念じゃのう、許嫁がおるんじゃよのう
わしらの孫を、嫁がせたかったもんじゃのう、和美よ

え?………

桜田を捨て、神谷を支え、日本国の過ちを、正す等と抜かしおって
業を、孫にまで背負わせおって…
いや、ワシらが、逃げ出したからじゃな、
許せ、和美よ…

い、伊藤さん?

………面識は、ないわ
祖母が、桜田の出なだけです

頭のなかが、混乱してた

何も考えずに、暫くゆるりと過ごされなされ

そこにいた、皆さんと、ハグをして
用意された部屋へ行ったんだ

麻酔が利いたのかな、
ぼわーんとしながら、レイの事を考えてたんだ

レイ、やることがあるからと
離れていったよな

会いたい、ものすごく会いたい

毎日一緒に居たもんなぁ………

会いたいよ、レイ………

……………

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