《MUMEI》
3話
「はぁ」
天空市第26位になったということでクラスメイトからいろいろ言われた暁はものすごい疲労感を覚えながら、ダラダラと帰り道を歩いていた。
「でも、あの人はもっと凄かったよな...」
あの人...
もうこの世にはいない、暁の義母だ。
暁の義母、暁 惟(あかつき ゆい)は孤児院にいた暁を引き取った。
その理由は、同じ特殊体質持っていたからだと、暁は思う。
暁 惟はその特殊体質のせいで、命を落とした。
自分を育ててくれる人のいなくなった暁は、5年前にこの市に入れられたのだ。
この市で学校に入っていると、超能力開発の援助者、悪く言えば実験体になっているということで普通の会社員くらいの協力料が支払われるので飢えることはない。
「あれ、暁君?」
声をかけられ、振り返るとそこには
「御咲さん?」
「やっぱり暁君だ。家こっちなの?」
「ああ」
「じゃあ、途中まで一緒かな?家って第何区?」
天空市は1から28までの区でわけられる。
二人の通う誠蘭高校は第6区だ。
「3区だよ。3区の...」
「もしかして、スカイ・ビル?」
「なんでわかったの?」
「え?あたり!?私もだよ」
「そうなの!?...世の中狭いな」
「だね。でも良かったー。知り合いがいて」
「市外から来たんだよな?どこから来たの?」
「イギリス」
「へ?」
「私、帰国子女なんだよ」
「そうなんだ」
「うん」
そうしているうちに、二人はスカイ・ビルに到着した。
御咲の部屋は、なんと暁の隣だった。
「そうだ、今日いろいろ教えてくれた代わりに料理ご馳走するよ」
別れ際に御咲はそんなことを言う。
「いや、いいよ。大したことしてないし」
「いいから、7時にうちに来てっ」
女子高生の部屋に入って料理を頂くというのはいろいろ不味くはないだろうかと思い、断ろうとした時にはすでに御咲は自分の部屋に入っていた。

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