《MUMEI》
協力して
その日の夜、あたしは沙月に恋の協力を頼むことにした。


「沙月!あのね、協力してほしいことがあるの!」


「何?」


「あたし・・・あの・・・」

なぜ!?さっさと頼んだらいいことなのに・・・


「なんだよ」


協力してが言えない!!言え!言うんだ!美亜!!


「あたし好きな人ができた!協力して!」


「・・・はぁ?誰?」


「海くん・・・なの」


「・・・いいよ」


「えっ?いいの!?」

「あぁ」


やった!これで少しは海くんに近づける。


「じゃあよろしく!」

あたしは少しも気づかなかった。沙月の表情が変わったこと。いつもより冷たい感じに変わっていたこと。


「マジかよ・・・美亜」


こんな独り言さえあたしは気づかなかった・・・。


あたしは本当に海くんが好きなの?


本当の気持ちも気づくのはまだ先の話。今のあたしは今のことで精一杯だった。

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