《MUMEI》
本当の事実
「はぁ〜」


沙月聞いたかな?あれから全然言ってこないんだけど。


誕生日聞いてって言っただけなのに。


「あっ・・・沙月!!聞いてくれた?」


「あっワリー。忘れてた。今度聞くから」


「あっうん」


行ってしまった・・・あたしわかっているんだよ。沙月は隠し事してる。絶対そうだ。だからおかしいんだね。


「教えてくれたっていいじゃん」


あたしはいつの間にか独りで泣いてた。悲しかったから?ううん、多分隠し事をしてるから。だってあたしたちに隠し事は今までなかった。なんでも言い合う仲だったから。


「・・・・・」


美亜。お前の思っていること声にでてるよ。わかってる。本当はいつかは言わなければならない。でも、今言ったら・・・何かが壊れそうだ。


「沙月」


「母さん?」


「美亜に・・・言ってない?本当のこと」


「・・・・言える訳ない」

「本当は美亜が・・・美亜が私たちの本当の子供だったら、あなたたち兄妹に隠し事なく、普通に生活してるのに」


「母さん、大丈夫。俺からちゃんと言うから」


「・・・・・」


「俺と美亜は兄妹じゃないって」


「えっ?」


「美亜!?お前・・・」


あたしと沙月は兄妹じゃない?嘘でしょう?


「美亜・・・」


信じたくない。事実を受け止めたくない。沙月はいつ、知ったの?聞きたいのに声が出ない。


目の前が真っ暗だ。

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