《MUMEI》
バラバラ
「写真…か?」


洋平に問い掛けてみるが、ただ震えるだけで何の返事もない。

司の後ろに居た美樹と優香は、その様子を見るなり眉間に皺を寄せた。


――連鎖反応。


怯える者を見ただけで、自身も怯えてしまう。

洋平の恐怖が感染してしまった二人は、対象の定まらない何かに恐怖感を抱いていた。


「…見るぞ?」


司は洋平の返事も待たぬまま、その写真を手に取った。


「っ!?」


見た瞬間に声を失う。


「何…また変わったの?」

動かなくなった司を見て、美樹は不安げな声で聞いた。
その声で我に返った司。


「み、見るな!!」


しかし時既に遅し。


「ヒィッ!!」


配慮すべき事を怠ってしまった事を、激しく後悔させるような、二人の声にならない悲鳴が部屋に響き渡っていた。



「おい!?しっかりしろ!!美樹!優香…っ!!」










誰が誰なのか分からない。

どの脚が誰のモノか。


どの腕が誰のモノなのか…。



全てのパーツがバラバラになった四人分の身体が、写真の中央に山積みにされていたのだ。

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