《MUMEI》 再会自宅マンションの敷地に入るゲートを潜り、 居住者用のエントランスの前で、車から降りたんだ まち子と伊藤さんは、さっそく仕事があるって…… やたら、ぎこちない態度だったな、まち子… 暫く休養して下さいね そう、言ってたけど… セキュリティーゲートを 、暗証番号で扉を開き中へ 大理石の広い階段を上がり、空中庭園を横に見ながら、 自宅の玄関へと歩んだんだ 懐かしく感じるな……随分経ってるような…… 心の中に、不安が立ち込める 指紋認証と暗証番号で、玄関のロックを開けた 電気が付いてる!、 ………レイ… 靴もある、居るんだ! 足早に、部屋へと入った俺を待ってたのは お帰りなさい 短く揃えられた、栗色の髪をした、レイが、 立ってたんだ 長かった黒髪のレイではなく どこか、よそよそしい、知らない、レイが とても、華奢に見えた 言葉が、思うように出てこない レイの目の前まで、歩いていき ……………ただいま やっとでた、俺の言葉だった 会話が続かない レイ、俺の目を、見てくれないんだ 鞄の中から取り出した箱を持ち、鞄を床に捨て 黙ってレイの、手を握り、 その、細い指に、指輪をはめたんだ ……………レイが、俺を見た レイ………君の全てが、欲しい、 ……過去も、未来も、俺に……くれないか? ……………返事、出来ないよ…… 嫌だ!、離さない! 抱きしめた、とにかく抱きしめたんだ とにかく、レイは今、俺の腕のなかに居る、 離さない 絶対に、離さない そんな思いで抱きしめてたんだけど 痛いよ……… レイが、そう、言ったんだ ………私なんかより、もっと汚れてない女を見つけ… レイの言葉を、塞いだんだ 唇で、その、唇を そんな言葉、聞きたくないから 逃げようとする、レイの唇を強引に追い掛け、 舌で唇を割ったんだ また、噛まれるかも知れないけど…… ……………応えてくれてた 俺の舌に でも、泣いてた……… 冷たい涙が頬を伝ってる その涙が俺の頬に伝ってるんだ …………… 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |