《MUMEI》 空は雲一つ無く真っ青に晴れわたっていた。陽射しには微かな春の気配さえ 感じられる。 「よーっ!お久ーーっ!」(久しぶり) 登校中に同級生の田町雅が背中を叩いてきた。 「おう!」 「復活したじゃん」 「心配かけてメンゴ」(ごめん) 「彼女が落ちこんでたぜ」 「ハア?彼女・・・・て何の話しだよ?!」 道の角を曲がると、家の塀にもたれるようにして鈴木かなえがうつむいている。 こちらを見た目尻には微かな光る玉がある。 「や・・・・やあ」 片手を上げる須佐男。 「別に落ちこんでなんか無いんだからね」 「えー、少しもー?!」 「ちょっとは心配したかな」 「てへ!」 須佐男は照れたように頭を掻いた。 前へ |次へ |
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