《MUMEI》
海くんと約束
あれから1週間、沙月は普通に接してくれる。嬉しかった。気まずくなったらどうしようと思ったから。


「沙月、早く学校行くよ」


「ふぁ〜。ねみー。」

「遅刻する」


「うるせー。まだ8時15分だし」


「あたしは日直なの!」


「歩いてるだろ?」


「沙月!おはよー!」

「海、よっ」


「美亜ちゃんもおはよー!」


「おはよーございます」


美亜、お前わかりやすい奴。顔真っ赤だし。あんまり他の男に見せんなよ。なんて絶対言えないけど。


「沙月!早く」


「はいはい」


美亜、鈍感すぎだよ。こんなに近くにいるのに伝わらない。

「・・・・・」


本音は渡したくない。誰のものにもならないでくれ。俺を見てくれよ。


「美亜ちゃん」


そんな願いはすぐ駄目になった。


「今度、2人で水族館行かない?」


「えっ?」


どうしよう。ってなんで悩んでるの?海くんだよ?あたしの好きな人!なのに、気になるのは・・・


「駄目?」


「あっいえ、行きます」


「本当!じゃ、日曜日の10時に迎えに行くから」


「はい」


なんで沙月が気になるの?


海くんと約束。嬉しいのに心の底から喜んでない。これも沙月がいるから?沙月が兄だから?もう心がぐちゃぐちゃだ。

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