《MUMEI》

「ちょ、ちょっと歩雪くん!?離してっ!!」

「あら、いいじゃない。あたし達にはお構いなく♪」

「そーそー!!全然気にしなくてオッケー!!」

「秋葉っ!!琴吹くんっ!!」

今宵は思いっきりおもしろがっている2人の発言に、顔を赤くしながら喚いた。

もー!!!

こっちが気にするんだってば!!!

そしてこの状況をどうにかしようと手足をじたばたとさせ、歩雪の腕から逃れようとする。

「歩雪くんってば!!離してよぅ!!」

「ダメ」

歩雪は一言答えると力を緩めるどころか、ますます今宵を抱きしめる。

「もう!!どーして!!」

今宵の問いには答えず、歩雪はぎゅーっと抱きしめて紘達を睨むだけ。

どうしちゃったの歩雪くんってば!!!

何を言っても無駄な歩雪に、今宵はどうしていいか分からない。

『邪魔』

歩雪の有無を言わせない無言のオーラに気がついた紘と秋葉は、ニヤニヤとしながら立ち上がる。

「はいはい。邪魔者は退散するわよ」

「オレもまだ死にたくねーしな!!」

「え?どういうこと?」

まだ危険なオーラに気がつかず、状況がよく掴めていないのが約一名。

イヤでも気がついてしまったのが約2名。

こうなったらもう大人しく帰る道しか残されていない。

「じゃ。頑張りなさいよ、雪村!!」

「気をつけてなー今宵♪」

これからどうなるか簡単に予想ができた2人は、今宵にエールを贈る。

「ちょ、どういうこと!?」

「じゃ」

「じゃーねん♪」

「話を聞いてっ!!!」

今宵の叫び声も虚しく、紘と秋葉は今宵の家から立ち去った。

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