《MUMEI》

真夜中の、暗い露天風呂

身体なんか流すなよ、そのまま入っちまえよ

竜也の声

精子、出てくるよ

ミオさんの声

構わないじゃん

俺、そう言ったんだ

レイが、そのまま湯に入り、ミオさんも来た

レイ、お前はもっと、弱い女だと思ってたよ

兄さん……

俺が目を光らせてないと、ダメなんだと思ってたんだ

………それが、嫌で反発してたのかな…
アメリカに留学して、自由だってはしゃいで、黒人に犯されて…

黒人に?!

ミオさん、聞いてないの?

……竜也は、人のこと話さないから
ノブくんの事以外わね

ノブの、事を、話してるの?

くすっ、自慢げにね

止めろよ、ミオ、こっ恥ずかしい…

アメリカまで、助けに来てくれた事は、感謝してるよ
でも、一人で何とかしたかったの
………嫌で、たまらなかったの、家が…
やらしい目で見る、組員たち、
何処に行ってもヤクザの娘……
自由がない………そんな生活が嫌だったのよ
だから、これ見よがしに助けてやった顔をした兄さんの、頭に、突き付けたのよ…

マグナムをか?、洒落にならねーぜ

泣いても、傷ついても、一人で………
結局、反発してただけよね

あの頃のお前は、弱かったよ
気丈に振る舞っても、透けて弱さが見えてた
…………心配で、たまらなかった

うん………でも、もう、大丈夫よ
ノブが、私を育ててくれるから
強くなれる………ならなきゃ、ノブを抱きしめられないもん

そうだな、強くなったな
でも、心配なんだ………

何が?

………犯されたからだ

ノブは、……

ノブじゃない、お前がだ
自殺するんじゃないかと、思ってたよ

……………

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫