《MUMEI》

「ゴホッ…………」
痛い、鼻がツンとする。
目がよく見えない。口から鼻から液体が出てくる。
拭った指が湿った。


「よかった。」
七生の深くついた息と落ち着いた声が頭から降ってきた。


「…………眼鏡は……」
七生から受け取って視界を広げた。
長椅子で横になっていた。真横に七生がいる。人がいっぱいいた。



「気を失ったんだね。貧血かな。」
先生が俺の眼球を見た。
そうか、倒れたのか……。初めてだこんなこと。しかも注目されて恥ずかしい限りだ。

呼吸も脈も体温も正常で本当なら一瞬の立ちくらみで済んだだろうに。
保健の先生も診てくれて、規則正しく生活していれば明日の影響はないだろうと言ってくれた。



部屋風呂使っていい許可も出て、さっさと寝る。

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