《MUMEI》

学校へ行くと担任やクラスメイトから退院祝いの言葉をかけられ、入院前と変わらぬ平凡な一日が始まった。
須佐男にとっては馴染みの授業風景が、日常生活へ戻った事を実感させる。
やがて終業のチャイムがなり 、帰宅の生徒の間をかき分けて、田町雅と鈴木かなえが近づいて来る。
「お前ら仲良いんだな、デキてんじゃねえの?ひゅー!ひゅー!」
「ファっキューーー!」
何者かのからかいの言葉に雅が応え、
帰宅のために教科書やノートをカバンに積めている須佐男に言った。
「今日ハカイジュウの新刊出るから帰りに本屋に寄らない?」
「うん、いいよ。でもちょっとトイレ
行くから待って」
「じゃ俺とカナちゃんは校門の外で待ってるわ」
一旦二人と別れて校舎の隅にあるトイレに向かう。
トイレに入った瞬間に、妙な違和感を感じた。

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