《MUMEI》
突然
「…でさぁ、送ったの!!」

「へーぇ…で?」

「…で?」

「うん、で?」

「…それだけ、かな?」

「なぜ疑問形?」

「いや、なんとなく怖くて」

今、私は親友の岡西 優彌(オカニシ ユウヤ)。

“ユウヤ”って、男の子だと思った?

実は、女の子。

ユウヤは純粋な…いや、ちょっと男の子口調の女の子。

「いいじゃん、返事来るかもよ?」

「ん〜、そこらへんは、届いてればどうでも…」

「いやいや、来た方がいいだろ」

「ん〜、まぁ…」

私の親友ユウヤは、私が海夜くん(の声)に恋してることを知ってる。

応援は…してくれてる。と思う。

そんなとき…。

~♪~♭~♪~♭

携帯電話から、暗めの音楽が聞こえてきた。

私の“電話”の着信音だ。

「はい、もしもし」

…石田、萌笑さん?

「はい、そうですけど…? どちら様でしょうか?」

あぁ、申し遅れましたが、僕は橘 海夜と申します

「あ、はいー、そうですかぁ…ん? タチバナ…? タチバナ、カイヤ…? カイヤ…橘 海夜くん!?」

はい、本物なので、聞き返さなくて結構です

「え? あの、え? 何で?」

ファンレター読ませていただきました

「確かに書きましたけど、何で電話してくださったんですか…?」

んー、なんとなく? ハハハ

電話の向こうで、橘 海夜が笑っている。

「声命館」のあの声で。

「会いたい…っ!」

口から勝手に出た言葉。

「あっ、ごめんなさい。口走っちゃって。無理なことを」

いや?いいですよ?会っても

「それぐらい分かってま…え?」

いいですよ?会っても

「え、え、えぇーーー!?」

「ちょっと、どうした!?」

「ゆ、ゆ、ユウヤ…カイヤ、くん…」

「は?そんなわけ…」

おーい、モエちゃん?

「タチバナ カイヤの声だ…!」

モエちゃん…?

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