《MUMEI》

深いブルーのメタリック塗装
まるで、深海の色のような……

ガロウイングのドア

真上にドアが開くんだ、以外と軽い

油圧のダンパーが、あるからだよな

左ハンドル

黒い革のシートには、ブルーのステッチで縫い合わされてる

ヘッドレストに刻印が、ある

力強い、闘牛の刻印が、

そう、有るべきなんだな、俺は……

闘牛か……見せ物のために、戦う牛だ…

まるで、俺だよな

ドアを閉めると、外と遮断された狭い室内は
孤独を愛しろと言わんばかりに
俺を迎え入れてたようだ

セルモーターを回すと
V12エンジンが吠えた

まるで、雄叫びだ

ゆっくり車を走らせた

戦闘機のコクピットのような、狭い運転席

傾斜の強いフロートガラスから見える景色は
見慣れた街を、別の世界に写し出してる様に感じた

墓参り、しとくかな…

先祖の墓の前、父と母が眠る、墓

何も、語りかけてはくれない

闘牛になるよ、見せ物のために、戦う牛にさ

父さんも、そうだったの?

つまらない世の中だね
それでも、俺は…生きてる………

じゃぁ、行くね

薄暗い街を、真っ白なライトの光が切り裂いてる

アクセルを踏めば、背中がシートに埋まるほど、加速する

邪魔だ、退け!

ハイビームで、前方の車両を退けた

並んで止まる、赤信号

喧嘩売ってこいよと、窓を開けた

左ハンドルだから、右ハンドルの国産車の運転席と真横に並ぶ

真っ黒な窓の、セダン

俺を見ない……

青になっても進まない

後続車両も、クラクションすら、鳴らさない

けっ、

パコンと、アクセルを踏むと
全てのタイヤが地面を蹴る

派手なスキル音を響かせ、猛加速する、ランボルギーニ

悪くないな、この、加速

さぁ、ポリ公、捕まえろよ

エンジンが、吠えた

高速に乗り、アクセルを全開にしたんだ

あっという間に速度計は、200を越した

まだ、加速してる

280…………レイに元に向かった時の、ファラーリの速度…

まだ、ゆっくりとだが、速度を増してる

300………出るんだな…!

トラックが行く手を遮った

ブレーキ!

シートベルトが身体に食い込む

間に合わない!

ハントルで、追い越し車線から、路側帯に避けた

車が不安定だと、俺に伝えてる

アクセルを踏み込む

加速させれば、安定する!

タイヤの向きを無視して進む車

斜めに向きながら、加速してる

ぐあっと、大きな力が、車に掛かる

右に左にと、方向を変える

捩じ伏せる!

ハンドルとアクセルで、車の姿勢をたて直した

そして、また、速度計は、300を越したんだ

………………

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