《MUMEI》

「ウス」
和成が訪ねて来た。

「あ、気をつけて足元」

「何これ筆立てをなんでここに置くんだよ!
机の上酷い散らかりようだな。」
和成は足元の筆立てや教科書を跨いでなづきの横にやってきた。

「ちょっと描くのに邪魔だったから。」
机には絵の具と筆が散乱していた。

「ボイコットより酷いな。」和成は跨いだ所から教科書を広い集める。

「勉強するんでしょう?」
机の端にあるシャーペンを掴んだ。なづきの指先は絵の具の色が移っていた。

「やる気あるんだ。」

「計算の宿題、5問分からなかった。」

「出したの8問だけど、3問やっただけマシか?」
溜め息と一緒に和成の口から笑いが漏れる。

「机、片すから」

「いい、いつになるか知れたもんじゃない。ベッド机にして床座りながら勉強しよう。」

ベッドは不安定でなづきには肘がつきにくくて不便だった。

軽い解説の後、なづきが頭の中で必死に公式を当て嵌めている間、和成は暇を持て余していた。

「片してていい?」

和成はどうしても、山になっているプリントが気になった。

「勝手にして」

なづきは数字を見続けて頭痛がしてきた。

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