《MUMEI》
偽りの自分
奇妙な暮らしが続いてた
帰宅するとレイが居る
明るい笑顔で出迎えてくれる

俺も笑顔でただいまと、言う

だけど、セックスどころか、キスすらない

まるで、仮面夫婦だな

レイが熱を出した
また、高熱だ、
このところ、なかったのにな…

大丈夫だから、休んで

うん、いいから寝てな

………何かを溜め込んでるんだな
レイは、そんなのが続くと、熱を出すんだ
解熱剤で、少しは楽になると思うけど

夜中に、保冷剤を替えたとき
レイに手を握られた

だから、握ってた……

会話はない、時間だけが過ぎてくだけだった

………愛してない訳じゃない
でも、先は見えないんだ、俺には…

誰かが現れ、レイを幸せにしてくれるなら、それでもいい
そう、思ってた……

泣くかな、そしたら、俺…
泣かないかもな………

そんな事を考えながら、朝を迎えたんだ

レイは、眠ってる……

起こさないよう、静かに支度して、仕事に行ったんだ

今日は、東京のオフィスに、伊藤弁護士とまち子が来るんだ

…………帰宅すると、ミオさんが来てたんだ

レイは?

寝てるわ

そう、来てくれたんだ?

買い物行こうって誘ったら、熱だしてるって言うから……洗濯、しといたわよ

有難う、悪いね
なるべく誘ってあげてよ、外出したがらないからさ

わかってるんだ?

…………俺のせいたろうな

なんで、抱いてあげないの?
嫌いな訳じゃないんでしょ?…

セックスか?

そうよ、男と女には、大切な事よ

………性欲が、無いんだよ

それでも、スキンシップは必用よ、逝かさなくても求められる嬉しさって…

立たないのにか?

え?………

勃起しねーよ、誰にもね…

嘘?………

嘘ついてどうすんだよ

ノブくん………貴方が勃起しないなんて、誰も信じないわよ!

しかたねーだろ、立たないもんは立たないんだよ
プリン買ってきたんだ、食べる?

………お茶、入れるね

いいよ、座ってろよ、俺ん家だ

……………

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