|
《MUMEI》 詳しくは、話せないんです まち子さん、彼のお立場は理解してるつもりです… 命を狙われたとしても、その時は、ある種の極限状態になって、なんの不思議も有りません しかし、それは、一時の事 通常時が、このような状態では、いつ、身体が悲鳴をあげても不思議はありませんよ 主人は、自分を押し殺してるんだと思います……… 全ての我を棄て、欲望を棄て… ただ、生命を維持するだけの、作業をしてるんだと……… 奥様………人間には本能が、あります 三大欲求を、ご存知ですか？ はい、……主人は熟睡しません 何時でも戦えるように 食事も変わりました、肉類をいっさい口にしなくなりました 少しの穀物と、少しの野菜と、豆類だけです……子孫も残さないつもりだと、思います もし、意思によってそうしてるのだとしたら、治療は可能ですか？ …………薬の投与で、身体を楽にすることは、出来ますが 問題を解決しないと、心の病は治らないでしょうね… 失踪なさったとき、歩き続けてたと、おっしゃいましたよね？ 通常、一週間も、眠らないなど有り得ないんですよ……… 先生、ノブが幼い頃、母を亡くし、その遺影の前に座り続けてました 飲まず食わずで、座り続けてたんです …………座ったまま、眠ってたのかも知れませんけど、正座は崩しませんでしたわ 足に血液が溜まって、壊死する寸前でした………… ………仮に、自らの意思で、そうされてるとしたら、治療による回復は、まず、無いでしょうね 心神喪失や、鬱などは、何かから逃れるために、 自分を守るために、引き起こす病なんです、 原因を取り除き、肉体を回復させれば、治癒されてくものなんですが……… 自ら、我を消そうとしてる…… 彼なら、出来てしまうのかもしれませんね… 麻酔なしで、弾丸の摘出手術を受けるような方ですから……… 痛覚を、コントロール出来るものなのですか？ ある程度の痛みなら、可能でしょうが 脊髄反射を押さえることは、不可能でしょう…………一般論ですがね 特異な例も、有るのですか？ 信憑性は、わかりませんが 拷問を受けた人は、脳内指令でドーパミンが出され、まぁ、脳内麻薬みたいなものですね………コントロールではありません 極限状態の苦痛を、脳が誤魔化そうとしてるだけです… 治療方法を探してみましょう それまでは、薬物投与で、身体を安静にさせるぐらいしか… 先生………お願いします …………… 前へ |次へ |
|
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |