《MUMEI》

レイと、二人きりになったんだ

記憶、ないの?

ん、断片的に、あるよ

頭、痛いの?

思い出さなきゃ…

また、変になるかもよ……忘れたままの方が良いかも……
そういう風に出来てるんだって、人間って……
私もね、犯されたこと、棚に上げてる…
消し去りたいと、思ってるもん、記憶から

でも、思い出すだろ?

うん、なんかの切っ掛けでね…

都合よく、考えてたのかも
どうせ、犯されてる身体だし…
兄達と、あんなやらしいこともしてるし、
ちょっと、触られたぐらいでイチイチ騒がないって………でも、それって、自分で大切にしてなかったからもって
今回、そう、思ったんだ

みんな、やりたがるよ
レイが、手に入ればさ……

美人だからね、わたし…

うん、でも、それだけじゃないよ
手に入らない女だから……
簡単に、その辺に居ない、女だから、よけいだろうな…

ノブも、自分を大切にしてなかったの?

………うん
うっ………

ムリに思い出さなくても……

………自分を大切にしてなかったは、レイを大切にしてなかったって、事だよな

……別れようって、言ったんだよ

覚えてる、自分の口に驚いたよ

楽だったんでしょ?放浪してたとき

そうだね………楽だったけど、淋しかった……

闘牛って、なぁに?

そんなこと、俺、言ったの?

うん、深層心理を、引き出してるとき、聞いたの
自分は、闘牛だって

見せ物のために、戦ってるんだって、思ってた
誰かが便乗して、利を得るだけ
俺には、何もない……なにも、得れないから…

ランボルギーニのエンブレムだよね?

うん………

………わたし、嫌い、あの車
車に嫉妬してる……ノブを、取られたから…

…………限界を、感じてたんだ、ずっと

話して、聞きたい、情けないノブを、知りたいわ

情けない、か、そうだよね
自分の中に、誰か居るんだ
そうじゃない、こんなんじゃないって…
でも、そいつは直ぐ、大人しくなるから……
レイを抱くと、居なくなってくれるから…

押し込めてたのね?

そうなのかな?……

どんな奴だったの?、もう一人の自分は?

恐ろしく、貪欲で、嫉妬深くて、暴力的でさ
全部を壊してしまうような、奴だったよ

全部を……

うん、核弾頭を、買おうとしてた
アクセスして、我に返ってたよ…

核弾頭?!
…………買えるの?

うん………たぶん……

なにに、使うの?

黙らせるため………俺は、悪魔だ…
薄汚い、奴だよ、俺って人間は…

………………

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫