《MUMEI》
クエスチョン
私達はホテルに向かっていた。
無言での運転が辛い。

第一日目を僅か10分程度で終わらせてしまうなんて……
私のノートは1ページに満たないぐらいの僅かな量しか書いていない。


「あの、山本さん今日はすみませんでした」

「謝らなくて良いよ。寧ろ褒めたいぐらいなんだけどね。今日の里緒は90点ぐらいの良い出来だったよ」

「えっ……90点?怒ってないんですか」

「全く怒ってない」

「私、高科を怒らせましたよね?」

「いや、そんなことはない」

「本当ですか?じゃあなんでこんなに早く帰るんですか」

「それは言えない」

「山本さんは何故突然、私に高科と話すようにさせたんですか」

「それも言えない」


−−何、いったいどういうこと。クエスチョンマークが付くことが多過ぎる。

「私はこれからどうしたら良いんですか」

「それは自分で考えてくれ」

−−山本の考えてることがわかんないよ。
あんたいったいどうしちゃったの?



夜の打ち合わせまでの時間は、部屋でのんびり休んでいて良いと言われたが、とてもそんな気になれない。
ホテルに帰った私は状況を整理しようと、必死になっていた。

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