《MUMEI》 母さんは悪くない・・・・。 僕が弱いから。 母さんを守れないから・・・・。 僕がもっと強ければ、あの粗暴な侵略者を母に近づけやしなかった・・・・。 僕がもっと強ければ! 近くの公園で一時間ほど時間をつぶし、 何事も無かった顔をして家へ戻る。 先ほどの事など無かったように母親は 晩食の支度をし、あいつは珍しく上機嫌でビールを飲みながら、テレビのバラエティー番組に笑い転げている。 母の湿ったうなじに張りついたほつれ毛が、妙になまめかしかった。 須佐男が「ただいま」と言うと、あいつがこちらに顔を向け「よう!坊主!元気か!」と言った。 消えてしまえば良いのに!! 「お前なんか・・・・!お前なんか・ ・・・!!」 前へ |次へ |
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