《MUMEI》

ドアを反対から押して来る力が、次の
瞬間消失した。


ふわり・・・・


とゆう感触と共に、須佐男の体は外れたドアごと個室の内側に倒れこんだ。


ドターン!とゆう音がタイル壁に反響する。
須佐男が荒い息を吐きながらドアの陰を覗くと、黒い砂山がボロボロと崩れ落ちながら平らになり、ほどけるようにバラバラに散らばっていくのが見えた。
その砂粒はあの夜に見た、銀色に光るあの糸グモに他ならない。
茫然とする須佐男の前で、糸グモは
床や影に溶け込むように消えていった。


どうゆう事なんだ?これは?一体僕の身に何が起きている?!



この理解の出来ない状況に頭をひねる須佐男の後ろで、
「おお?」とすっとんきょうな声が上がった。
倒れたドアの上に四つん這いにまたがったまま、汗だくの顔を振り向けると、
眼鏡をかけておかっぱ頭の少年が立っている。
「あら?あらら?あーらら?いーけないんだー」
「は?」
おかっぱ眼鏡は背後を振り返ると
「おーい、お前ら来てみろよ!」
と叫び、須佐男を再び見て意地の悪そうなにやにや笑いを浮かべる。

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