《MUMEI》
もう貴方は居ない。でお話を。
*死ネタ注意です。


いつも一緒だった。僕の傍で優しく頭を撫でてくれた、暖かな日溜まり。

そんなある日、貴方が消えた。



『ネェ?何処ヘ行ッタノ?』



…サビシイヨ。サビシイヨ。泣きながら、貴方と暮らした部屋で貴方を探す。


いつも僕を膝に乗せて、座ってた、お気に入りのソファーには貴方は居ない。



…サビシイヨ。サビシイヨ。



いつも僕を抱いて一緒に眠っていた、ふかふかのベッドも今は冷たくて…



…サビシイヨ。サビシイヨ。


ねぇ貴方。
僕は疲れちゃったよ。


―――探す事に―――


ねぇ貴方。
僕は疲れちゃったよ。


―――待つ事に―――


僕はもう気付いてしまったんだ。


―――貴方がもう居ない事に―――


僕は、ベッドに踞り泣き続けた。

……………………………

《クロさん》

『?』
…今、貴方の声が聞こえた。目を開けると、貴方が居た!


《寂しくさせたね?》
僕を見つめる優しい瞳。

『ウン、サビシカッタヨ!』


《一緒に来るかい?》
僕の身体をふわりと抱き上げる。

『ウン!ツレテイッテ!』


暖かな日溜まりに包まれて、僕は最高に幸せだったんだ。


『モウ、僕ヲ…ハナサナイデネ!』


……………………………


暫く後、部屋のドアが開く。二人の若者が入って来る。


「クロさ〜ん?」

「おーい、そっちに居たぁ?」

「いや…あ、待って?居たよ、ベッドで寝てる」

「やっぱり、此処にいたんだ」


二人は安堵し、ベッドへ近寄る。


「え?クロさん?」

僕を抱き上げようとした二人は言葉を失う。

重力に逆らう事無く、ダラリと垂れ下がる頭や手足。艶を無くした身体。


「……そうか」

二人は暫くお互いの顔を見つめながら、頷いた。


「逝っちゃったんだね、お祖父ちゃんの元へ。」

「うん、でもクロさん。幸せそうな顔してるよ。もう寂しくないよね?」

「うん。きっとお祖父ちゃんと一緒にいるだろうからね」


二人は泣きながら、死んでしまった、お祖父ちゃんの愛猫のクロさんを抱えて部屋を後にした。



…ウン、モウサビシイクナイヨ…



……………………………


しまった。BLとは言えない話かも。すみません。

僕は擬人化した黒猫。
どこら辺でお気付きになりましたか?
下手くそなんで、分かりにくいでしたかね。

読んでいただきありがとうございました。

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