《MUMEI》

「つ、疲れた…」
私は思わず木陰に座り込んだ。
「ふふ…」
姉はそんな私を見て笑っている。
「もう、笑わないでよ
お姉ちゃんのせいでこんなに疲れてるんだから…」
「ごめんごめん
翼がそんなふうになってるの、久しぶりに見たから」
「だからって笑うことないじゃん…」
けれども内心では、こういう時間が心地よいと感じる私もいるのだった。

「そろそろ時間だから」
交代時間が迫り、姉は文芸部のブースへと歩いて行った。
残された私は、また独りだ。
独りになると、嫌なことを考えてしまう。
赤羽先輩は今どうしているだろうか…。
「やあ、タスクちゃん
浮かない顔してんじゃん」
響子だった。
鬱陶しいヤツが来た…。
「…アンタには関係ないじゃない」
「うーん…
まあ、そうだね」
納得するのかよ…。
「で、何で?」
「…結局訊くのかよ」
「あー、待って
当てるから
えっとね…振られたでしょ?」
ウザい上に当たっているのが、余計に腹が立つ。
「まぁ仕方無いよねぇ…
赤羽先輩には中村先輩がいるんだし」

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