《MUMEI》
猫舌?
「それで?何してるわけ?」
自分用の皿に盛ったタコ焼きを口に入れながら、タイキはミユウの端末を覗いた。
「見ないでくれる?」
特に隠そうともせず、ミユウは言う。
「……見てもわかんないじゃん」
タイキは憮然とした表情でタコ焼きをもう一つ口に投げ入れた。

 彼女の端末画面では、タイキには理解不可能な記号やら文字やらが表示されては消えていっている。
おそらく彼女だけにわかるように暗号化されているのだろう。

「ま、あんたには理解できないだろうね」
そう言うミユウは、なぜか最初に一つ食べたきり、タコ焼きに手をつけない。
「食べないの?」
「冷ましてるの。熱いから」
「そうか?これくらいがちょうどいいだろ」
タイキは再びタコ焼きを口に入れた。
「あんたにはよくても、わたしには熱いの」
「ああ、猫舌なんだ」
納得して頷くと、ミユウはキーを叩いていた手を止め「黙っててくれる?」とタイキを冷たく睨んだ。
「はいはい。邪魔しませんよ」
タイキはため息と共にそう言うと、時計に目をやった。

午前六時。

「僕、シャワー浴びてくる」
タイキはよっこらせと立ち上がった。
しかし、ミユウの視線はすでにタイキに向けられてはいなかった。

真剣な表情で端末を操作している。

「やっぱり、無視かよ」
タイキは小さくそう言うと、タオルを手に浴室へと向かった。

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