《MUMEI》

「……え?」
今、信じられない言葉を聞いた気がした。
「赤羽先輩とお兄ちゃんが…?」
「…え?
タスクちゃん、知らないの?」
とても不思議そうな顔で見てくる響子。
「あの二人、付き合ってるんだよ?」

文化祭や学祭の打ち上げと言えば、フォークダンスが定番らしい。
私達の学校も例外では無く、吹奏楽部(の中でもお相手のいない非リア…ソロの精鋭部隊)によるダンスがある。
私は赤羽先輩に袖にされたので、校庭の隅からみんなを眺める形になる。
そうして周りを漂いながらダンスに加わるための相手を探すのだ。
(実際、上級生と思われる男子と、クラスメイトの女子から誘われた。無論断ったが。)
そうしてダンスの輪を眺めていると、虚ろな目をした姉が歩いてきた。
「お姉ちゃん…どうしたの?」
まさか…。
努めて考えないようにしていた響子の言葉が思い出された。

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