《MUMEI》 「さっきね…」 姉がポツポツと話し出す。 「鴒をさ、ダンスに誘ったの …そうしたらさ、何て言ったと思う?」 「……」 予想は出来る。 だけど、それを言ってしまえば、姉がもっと傷つく気がした。 「…『俺は文葉と付き合うことにした。だから、お前とは別れる』だってさ」 「――さ…」 「最低だと思うよね!? ボクには、鴒しかいないのに、それなのに、裏切られて…」 「お姉ちゃん…」 「ボク、もうどうすればいいのかわからないよ…」 …。 ……。 私は、そんな姉の側にいることしか出来なかった。 前へ |次へ |
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