《MUMEI》 9/8あれから一週間が過ぎた。 姉は部屋に引きこもり、ほとんど出て来なくなった。 文芸部は一人欠けた状態ながらも、いつも通りの活動を続けていた。 「ん…」 窓から差し込む日差しに目を覚ます。 枕元の時計を見ると十一時。 私としては珍しく、寝坊したようだった。 「ごめん、お姉ちゃん 寝坊しちゃった」 姉の部屋の前で声を掛ける。 この一週間ですっかり習慣になってしまった。 しかし、姉から返事は無い。 「開けるよ…?」 ガチャッ 鍵はかかっていない。 姉はいなかった。 「出掛けたのかな?」 だとすれば、少しは落ち着いたのかもしれない。 ご飯を作って待つことにしよう。 十二時を少し過ぎた頃、「ただいまー」と声がした。 姉が帰って来たようだ。 玄関に迎えに出る。 「お帰りなさい、お姉ちゃん …って、その格好どうしたの?」 姉は何故か冬制服のブレザーを着ていた。 「なんだか、寒くって…」 「…大丈夫?」 私が心配そうに訊くと、姉はニコリと笑って頷いた。 「ボクは大丈夫、心配しないで」 少し、安心した。 「そんなことより、お腹減った」 「うん、ご飯にしよっか」 前へ |次へ |
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