《MUMEI》

「そして、残りの9割超を占めるのが…、血液感染。つまり、最初に空気感染したものから攻撃を受けキズを負うことにより感染するというものだ。まだ詳しいデータは判明していないがキズを受けてから約1時間、これがゾンビになるまでのカウントダウンだ。」

「ふむ、つまり俺たちは運良くカプセルの落下点から遠く、なおかつゾンビに襲われなかったために助かったと…?」

「そういうことだな。しかし、他の大多数の人間がゾンビ化しているのはおかしいな。昨夜、何か大勢の人間が集結する機会でもあったのか?」

「…そうか!祭だ!昨日は鎮魂祭で町人みんな神社に集まっていたはずだ。」

鎮魂祭。その昔、この地に住んでいたという鬼を祀る儀式である。といっても、最近はビジネスライクな縁日と成り果て、家族連れとカップル向けのイベントへとシフトしていった。

「祭り?…なるほど。多分、そこで多くの人間が感染したのだろう。それにしてもなんで君たちは祭りに参加しなかったんだ?祭りと言えば若者が主役だろう?」

オッサンが不思議そうに聞く。

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