《MUMEI》
地球が一回転する間に。
深夜に帰宅した同室の彼に起こされる。

『……ん、何?』

まだ眠りから完全に解放されない頭はボンヤリしてるが、彼の姿を捉えた瞳は完全に覚醒する。


…紅潮した頬。戸惑う表情。懇願の眼。


『牟呂っ…話、聞いて』

『はい。どうしたんですか?早瀬。』




軽く身支度をして、珈琲と早瀬用にココアを淹れソファーで待つ早瀬の元へ。

−−−コトン。
目の前に置かれたココアをボンヤリみていた彼が口を開く。


『牟呂っ…付き合ってて言われた。』




『…良かったですね。』

殊更、穏やかに微笑んで見せて…。彼から瞳をフェイドアウトさせ…ようとしたら失敗した。


ガシリと両腕を痛い位に掴まれて、眼前に迫る早瀬の顔にドキリと胸が鳴る。


『良くないっ、俺…』


オロオロと狼狽える早瀬を、宥める様にしてソファーへ深く座らせる。


『やっと想いが通じたのに、何が良くないのですか?』


そう、早瀬はずっと片想いをしていた。僕は、毎朝毎晩寝ても覚めても、早瀬から相談を受けていたのだから…。

同性に片想いしてる。と早瀬に打ち明けられたのは入寮して少し後の事。びっくりはしたけど、別に変とか気持ち悪いとかの感情は沸かなかった。

それは多分、早瀬の人間性に惹かれていたからかもしれないが…素直で開けっ広げな彼の性格は、幼い頃から、感情が表に出にくい僕からしたら羨ましく、眩しく思えた。

その気持ちが恋だと気付いた時には、僕はもう早瀬の片想いの相手の事を充分過ぎる程聞かされていたし、早瀬の彼に対する想いの深さも嫌と言う程理解していた。


『牟呂っ…牟呂っ…』

早瀬が呟く。

『はい、何ですか?』

殊更穏やかに、殊更優しく…僕は本当に感情が表に出ない。

駄々っ子を宥める母親みたいに、優しく頭を撫でる。


地球が一回転する間に、僕の想いも浄化出来れば良いのに…

いや、僕の早瀬への想いは、一回転ぐらいでは消え失せたり出来ないんだろうなぁ…。


いつの間にか、僕の膝枕で寝息を立てている早瀬に苦笑した。




……………………………

あ、なんか早瀬の気持ちが意味不明。

大好き過ぎて、いざ付き合ってて言われたら不安で尻込みしちゃう感じでしょうか?嫌われたくなくて…。

牟呂が、老成してる感じが否めません。


お目汚し失礼しました。読んでいただいてありがとうございました。

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