《MUMEI》 from Miwaあの時、心の曇り空は、どす黒く変色し切っていた。 今にも雨が降り出しそうで――― 覆い尽くされそうで――― 多分、全てが終わった後は、私は死んでいたと思う。 Youさんの言う自殺志願者というのは、私も同じだ。 現に私は、死のうとした。 ああ、私は結局、このまま幸せを噛み締める事が無いまま、この世の中から、消えて無くなるんだなぁ、と思った。 すぐに、まぁいいか、もういいか、と思えた。 私が消えて、悲しんでくれる人は、もういない。 私が消えても、影響力は、無い。 両親の不幸の全てを背負ったまま生きていく………。 そんな覚悟、私には、無い。 だったら、まだ私が両親の不幸を直視している今なら、死んでもいいんじゃないか? 生きるのが辛いなら、死んでもいいんじゃないか? 死んでも、いいんじゃないか? そんな自問を繰り返す。 自答する。 いいじゃないか。 死んでも、いいじゃないか。 そんな感情で、埋め尽くされてしまっていた。 私の心は、負しか生まない。 襲われたって、仕方がない。 いずれ自分だけじゃなく、他人を不幸にする。 なら、このまま―――死んでも、いいじゃないか。 けれど、私は救われた。 まるで王子様のようだった。 身も心も、救われた。 しかも、私を好きだと言ってくれた。 こんな私を、好きだと言ってくれた。 こんな感情、初めてだった。 今まで動くのを忘れていたんじゃないかって思えるくらい、心臓がドクドクと鼓動する。 体に熱が纏う。 これが、好きになるという、気持ち。 誰かを好きになった事はある。 けれど、ここまで、激しくない。 ここまで、愛おしくない。 彼は―――私に生きる理由をくれた。 私の心の曇り空は、彼の心の太陽の光で、浄化された。 天晴れな、気持ちになっている。 彼の笑顔は、まだ慣れていなさそうに、堅い。 けれど、何でだろう。眩しかった。 彼の涙は、とても澄んでいてキレイだった。 けれど、何でだろう。眩しかった。 私も、彼のように、なれるだろうか。 彼のように、変われるだろうか。 惚れさせる必要は、無い。 もう私は、あなたの事が好きだから。 前へ |次へ |
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