《MUMEI》 へっ、なるほどね…… いくら仕事ができても、会社の業績が悪くちゃね 兄貴の会社、外資系だから、数字に煩いもんなぁ ボーナスも減らされてるみたいだな それに、リストラも始まりそうだ… それに、親父が残したあの、店の土地 根切りしたら、ガラがたくさん出てきたってよ 基礎工事、追加で金がかかったな… 兄貴が金に困ってる、か 面白いね…… 司法書士を頼んだんだ 初めてだからいくら掛かるか不安だったけど 相続の書類をキチンとしときたかったからね 兄貴も抜け目ないね 弁護士を用意してたよ 車検も無事終わり、司法書士と兄貴の家に行ったんだ 兄貴が頼んだ弁護士さん、一瞬困った顔してたな 記憶にある目録から、俺が必要とするものだけを、ピックアップしといたんだ 後は全て兄貴の物で良いよってね 預貯金は全て兄貴だし、文句ないだろうな けど、兄貴が建ててるマンションの土地の一部は譲らない…… さて、どう出てくるか 案の定、ゴタゴタ弁護士が言い出したから じゃぁさ、当時の預貯金から何から目録全部出してよ それまで、凍結するよ 黙ったよ、弁護士が 俺ね、チャッチャッと済ましたいんだ 出来なければキチンとやろうよ キチンと、出来るはずもないさ 千夏の実家に金を貸してる 預貯金まで分けられたら、兄貴は破綻するか、建設中のマンションを、人手に渡すかだろうな すかさず、司法書士さんが言ってくれたんだ おそらく法廷相続分より少ないと思われます ご両親の借金や、今見えてない物に対して一切の義務を追わない念書をもらいますが 揉めるより、よろしいかと あっはっはっ、司法書士に、弁護士がやっつけられてるよ 母屋も預貯金も兄貴なのに、何が不満なの? 建設中のマンションの土地なら、安く貸すよ 契約書も作るよ! 俺の言葉に兄貴が折れたんだ でも、それは俺の罠 兄貴には、安く貸すけど、その契約は兄貴との契約で、譲渡できないんだよ もし、誰かが借りるとしたら、その時の時価 そう、明記してあるんだ こちらが用意した書類を、弁護士が確認してから返事をすると言ってた プロなんだから一週間も有れば良いよね? それで決まらなきゃ、裁判にしようね めんどくさいからさ 釘を指し、兄貴の家を出たんだ 前へ |次へ |
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