《MUMEI》

老人−師匠−の話は、要約すれば次のようなものである。
遥か数万年前に、地球の各地に外宇宙からやって来た知的生命体が降り立った。
彼ら『来訪者』は超能力者で、その念を増幅する機械を恒星間宇宙船に設置する事によってワームホールを発生させ、
公漠たる宇宙空間の旅行を可能にしていたという。
そうして地球へやって来た彼らは、当時の人類に文明を授けた。
(「わざわざ遠い星の彼方から何とも奇特で、おせっかいな連中だ!」虎ノ介はこの話を聞くと、いつもそう思う)
だが彼らの間で、人類に対する考え方は決して一枚岩ではなかった。
人類の未来の可能性を信じて、やがて彼らの属する銀河文明に、将来は受け入れようと手助けしようとする者達と、あくまで人類を自分たちの奴隷にしようとする者達との間で、考えの相違が生まれた。
それはやがて深刻な対立へと発展し、
戦争を引き起こす。
世界中に残る神話における神々達の戦い、洪水伝説などは その遠い過去の記憶のあらわれなのだ。
超兵器の使用により、地軸はねじ曲がり地球規模で天変地異が起きた。
エジプトのスフィンクスには、エジプト文明発生以前・・・・一万年以上前の
洪水による侵食がある。
まるで核戦争を想定し地下シェルターとして作られたかのような、モヘンジョダロの巨大な地下遺跡の周辺には、瞬間的な超高熱にさらされなければ出来ない、ガラス化した大地がある。
これらは全て古代の戦争の痕跡なのだ。

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