《MUMEI》
続きの続き。
牟呂と早瀬の続きの続き。
*早瀬視点*


『…牟呂っ、話聞いて』

まだ半分寝惚けてる牟呂に、ドキマギしながら、咄嗟に言うと、直ぐに起きて珈琲とココアを運んで来てくれた。


−−−コトリ
ココアの甘い香りと湯気がほわりと俺の前に置かれる。


『……牟呂っ、付き合ってって言われた』

そう告げれば、牟呂は少し動きを止めて、俺を見て……



『……良かったですね』

いつも通りの涼しい顔で言いながら、俺を視界から消そうとした。
咄嗟に牟呂の腕を掴んで、無理矢理視線を交わせる。


『…良くないっ、俺っ』

覗き込んだ牟呂の瞳に、映る俺の顔が歪む。



『…やっと想いが通じたと言うのに、何が良くないと言うんですか?』

牟呂にしたらもっともな言葉、だけど今の俺にしたら言って欲しくなかった言葉。



…あぁ、無理。やっぱり言えない…今更、こんな…俺は……。



『…牟呂っ、…牟呂っ』


……ただ、ただ、牟呂の名前を呼ぶ事しか出来ずにいた。そんな俺を優しくソ\ファーに座らせ、宥める様に髪を撫でる牟呂。

ヤバい。泣きそう。

もうどうすれば良いのかプチパニック状態の俺は…涙を誤魔化す為に、牟呂の膝枕に寝たふりをしてしまった。


牟呂に、クスリと笑われて暫く髪を撫でられていた。



『−−ンン−ン−笑ってよ君の為に−−君の笑顔が好きだーかーらー−ンン−ン−明日にーなればー君は−僕の傍から−はーなれてゆ−くけれど……』


牟呂が歌ってる?なんて切ない…この歌は、ちょっと前に流行ったバンドの失恋の歌…。


『明日になれば…早瀬、君は彼の恋人になるんですね…でも今だけ、いや今夜だけは…僕の早瀬でいて下さい』


牟呂の消え入りそうな声が確かにそう呟いた。


『君が好きですよ、早瀬。寝てる君にしか伝えられませんが…』

優しく優しく、牟呂の手が俺の髪を撫でる。


…牟呂も俺の事を?…


『うぅ…ぇっ、ひっく、つっ…ぇっく…』

堪えきれずに、しゃくり声をあげて泣き出してしまった。


『は、早瀬!ま、まさか起きて…え?ちょっ…泣き止んで…あの…早瀬?』


寝ていると思っていた俺が起きてたショックと、泣き止まない俺に焦る牟呂の姿。

蒼くなったり赤くなったり…。


『俺も好き。牟呂が…好き!』


『え?えぇ?えええぇぇ??』


初めて聞く、牟呂の叫ぶ声。焦る姿。



さて、今夜はじっくりとお互いの本音を明かすとしましょうか。


…そう、地球が一回転する間に…ね。




おしまい



……………………………

お、終わった。
本当に自己満足な話でスミマセン。失礼しました。

読んで下さった方、ありがとうございました。

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