|
《MUMEI》 金曜日の夕方、ヒトミちゃんから電話が来たんだ お仕事中ごめんなさい、すぐ来てもらえますか？！ トウコが大変なんです って 俺、あのお婆さんに頼まれて 運転手してたんだよね 何かって言うと、俺を呼び出して使うんだ、佐久間の、お婆さん 法事だったんだ… 息子さんとお嫁さんを亡くしてるんだって…… ………淋しいのかな？… 急用なら、タクシーで帰りますわ いえ、お送りします、もうすぐですから 佐久間のお婆さんを送り届け、急いで、向かったんだ… ベンツがバレちゃうけど、大変て何だよ…… トウコの大学の駐車場…… 怪我でもしたのかなぁ…何処だろ？ さっきからトウコに電話してるんだけど、繋がらないんだ… ヒトミちゃんに掛けたんだ タクヤさん、今どこですか？ キャンパスのパーキングだよ え？、見えない、間違えてないですか？ 居るの？、人が、たくさん居るところ？ そうです、タクヤさんの車見えないですよ！ 手を上げてみて はい 見えた、直ぐ行く、トウコは？ 居ます 車を走らせ、人だかりの所へ ……ヒトミちゃんが居た！ トウコは？……居た…… タクヤさん！ ヒトミちゃんが来たんだ うなづき、トウコの、元へ どう見ても、対峙してる 女が居て、その横に、男も… ごめんね、タクヤ 何事なの？ 元カレのお姉さまよ、私に文句が有るんだって ……打たれたのか？ トウコ、返事をしなかった 連れて帰るよ、文句がある奴、居るか？ 何様よアンタ、まだ、話の途中よ 女が言ったんだ 俺様だよ 俺の声に、女の顔がひきつってた そして、その横の男を見たんだ お前か？、トウコを殴ったのは？ い、いえ、自分じゃないっす… なによ、しゃんとしなさいよ！ たいしたことないでしょ？、こんな、貧乏人 お、おい、話が違うじゃんかよ アーマゲーだぜ… 何よそれ！ いいからやっつけてよ！ む、無理言うなよ… 何ビビってんのよ！ 誰が殴ったか聞いてんだよ！！ 怒鳴ったんだ オッサン、でしゃばるなよな 近くに居た男が俺の前に来て言ったんだ 頭に来たから胸ぐらつかんで持ち上げて お前か……トウコを殴った奴は…… ぐっ、ぐっ、ぐるじぃ、は、はだぜ、 答えろ…… 止めよう、タクヤ 腐ってても、男子は女子を殴ったりしないよ そうか、お前か… 男を地面に捨て、女を見たんだ 次は、許さねーぞ、学生なら親と話す、 お前は、拘置所にでも、入れや そう告げて 帰ろう、トウコ 笑顔でトウコに話し掛けたんだ ヒトミちゃん、送るよ、乗って は、はい…… ヒトミ！、なんで、アンタが助手席のドア、開けてんのよ！ あ………いつもの癖で どうぞ、トウコさま もう どうぞ、ヒトミちゃん 後部座席のドアを開けたんだ ありがと 周りを完全に無視して 二人を車に乗せ、走り出したんだ ……なぁに、この車 特別な仕事用だよ、それより何事なの？ 出し惜しみしてたの？！ トウコ、そんなことより ひっどーい！！ トウコ………ハイエース、嫌いか？ ……そんなことないけどぅ 今の俺は、そんぐらいの身分なの ごめんな、恥かかせて ………ううん、ごめんなさい…… 見栄張るの、嫌いじゃないから、つい… 、 前へ |次へ |
|
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |